さて、秋も深まったこの時期ですが、
今年もきのこ狩りの事故のニュースがありました。
そこで、今回は「毒きのこ」に焦点をあてて、
くすり分野の豆知識をお伝えします。
①ベニテングタケ
まずは有名な毒きのこ、ベニテングダケです。
見た目からして、ヤバさを感じてしまいますね。
その毒成分は、「イボテン酸」と言います。
実はこの「イボテン酸」、
人間が美味しいと感じる旨味成分である「グルタミン酸」より、
10倍も旨味が強いと言われています。
そこでこのイボテン酸を利用した旨味調味料が研究されています。
②タマゴテングタケ、ドクツルタケなど
再びテングタケの仲間ですが、
毒成分はアマニタトキシン類(アマトキシン類)です。
この毒成分は生体細胞を破壊してしまう恐ろしい毒成分ですが、
これを応用して、がん細胞を特異的に破壊する、
いわゆる抗がん剤の研究が進んでいます。
③ホウキタケの仲間
ここまで、かなり怖い毒きのこの話をしましたが、
もっと弱い毒を薬に応用する研究もあります。
ホウキタケは見た目から美味しそうじゃないですし、
一般的には食用にされませんが、
食べると下痢をする毒成分があるとされています。
この成分、腹痛などは伴わず、人体に負担は少ないとの事で、
下剤への応用が研究されています。
④冬虫夏草
※写真を載せようかと思いましたが、グロテスクな見た目なので、興味のある方はご自身で検索してみてくださいね。
最後は毒きのこではありませんが、
昔から薬に応用されている菌類を紹介します。
昆虫の幼虫などに寄生する珍しい菌で、
冬の間は虫なのに、夏になると菌になるように見えるので、
このような名前が付きました。
中国では昔から、不老長寿の秘薬や漢方薬としても知られています
免疫力を高め、集中力なども向上すると言われています。
さて、なぜ毒キノコと食べられるキノコがあるんでしょう?
一説によると、もともとキノコは動物に対する何かしらの毒を持っているそうです。
そして一部の食べられるキノコが動物から捕食されるのを逃れるために毒キノコに擬態しているのではないかという説です。
そう考えると、私たち人間は、キノコの策略に見事にはまっている気がしますね・・・
以上ですが、最後にきのこ狩りについて。
まず何といっても、基本的に未知のきのこは摂取しないようにしましょう。
どうしてもきのこ狩りをしたいなら、きのこ専門家の助言を仰ぐべきです。
自力できのこ狩りをするなら、十分な知見を持って、
さらに、最初に小量を食べて、体調の変化に注意してから食べるべきです。
安全第一で、楽しいきのこ狩りをお楽しみください。