
生まれつきの病気であったり、事故による理由によって、言葉を話すことや食べることが
不自由な方をサポートする言語聴覚士。
そのお仕事についてお伝えします!
話す・聞く・食べるの専門家。人の「生きる」の支えになる

言語聴覚士とは
言葉を聞くことや言葉を理解すること、食事をすることなどに障害をお持ちの患者さんに症状の改善のための訓練や指導を行うお仕事です。
言語聴覚士になるには言語聴覚士の国家資格の取得が必要となります。
患者さんが言葉を聞くことや理解すること、食べることについての障害を持つ理由は、生まれつきの障害や難聴(※音が聞こえづらくなる耳の病気)、 事故などによる体の機能の不具合や心の病気など、様々な原因があります。
それらの問題を抱える患者さん、ひとりひとりに合わせた治療を行なっていくことが主な仕事内容です。
リハビリの対象は、こどもからお年寄りまで幅広い年代の人達です。
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お仕事 その
障害の分析と対処
人が言葉を話せなくなるには人それぞれの理由があります。
それらの問題の原因を突き止めて、ひとりひとりに合った解決策を導き出すことが言語聴覚士のお仕事です。 -
お仕事 その
他の職種との連携
言語聴覚士のお仕事は、お医者さんを始めとした、他の医療のお仕事の方々との連携が必須となりますので、他の職種とチームを組み、協力して治療に取り組みます。
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お仕事 その
患者の関係者との関わり
患者のご家族や、患者が子供の場合には幼稚園や保育園の先生など、患者の周りの人達と関わり、病気の原因を探すことがありますので、様々な人と関わりを持つコミュニケーション力が必要となります。
仕事内容
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聴くことのサポート
聴こえに障害がある方に対して聴力検査や訓練を行います。また必要に応じて補聴器・人工内耳の調整なども行いコミュニケーションの指導を行います。
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食べることのサポート
食べ物の飲み込みがうまくいかず、口からこぼれてしまったり、ムセてしまったりする方の原因を調べ、訓練や指導を行います。
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ことばのサポート
小児では言葉や発達、コミュニケーションに障害がみられるお子さんへの評価・訓練・指導を行います。
成人では病気や怪我により声をだすことや言葉が上手く出ないことでコミュニケーションに障害がみられる方に対して評価・訓練・指導を行います。
1日のスケジュール
- 病院勤務(成人分野)の例
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- 08:30
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出勤
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- 08:45
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朝礼
朝礼ではその日1日の予定の確認と患者様の様子など病棟との情報共有を行います。
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- 09:00
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個別リハビリ
入院患者様の個別リハビリを行います。言語障害(失語症や構音障害)の方や摂食嚥下障害によりうまく飲み込むことが出来ない方など患者様の状態に合わせてリハビリを行います。
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- 12:00
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入院患者様の昼食
昼食時患者様の食事の様子を観察・評価します。
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- 13:00
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昼休憩
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- 14:00
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個別リハビリ
入院患者様の状態に合わせ個別リハビリを行います。
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- 16:30
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情報共有
カルテ記入や職員間での患者様の情報共有を行います。
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- 17:00
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明日の準備
明日の業務の申し送りや準備を行います。
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- 17:30
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帰宅
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- 発達支援センター勤務の例
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- 08:30
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出勤
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- 08:45
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情報共有
職員同士で利用者の状態確認や連絡事項を共有します。
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- 09:00
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療育相談
午前中は保護者の方の療育相談を行います。
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- 12:00
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昼休憩
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- 13:00
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個別訓練
午後からは、利用者の個別訓練を行います。個別訓練では日常生活場面での基本的な生活習慣やコミュニケーション能力の向上を目指します。
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- 16:00
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集団訓練
夕方は発達がゆっくりなお子さんや吃音のお子さんの集団訓練を行います。集団で行うことでより実用的なコミュニケーションの訓練になります。
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- 17:00
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情報共有
利用者の記録を書いて職員同士で共有します。
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- 17:30
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帰宅
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- 病院勤務(小児分野)の例
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- 08:50
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朝礼
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- 09:00
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聴力検査
耳鼻咽喉科でお子さんの聴力検査を行います。0歳の赤ちゃんの聴力検査もします。
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- 12:00
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昼休憩
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- 13:00
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訓練
入院している方の訓練。きこえや飲み込み、ことば等様々な障害の方の訓練を行います。
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- 15:00
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外来訓練
外来訓練。子どもの成長を促すような支援の他、保護者の方へのアドバイスも行います。
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- 17:00
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明日の準備
カルテ記入と明日の準備
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- 17:50
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帰宅
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言語聴覚士に向いている人とは
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向いている人
その人と深く関わることが好きな人
言語聴覚士は患者様が障害をもった後も自分らしく生きていけるように支援する仕事です。そのためには患者様が病気になる前の生活と病気になった後の生活について理解する必要があります。その上で患者様にとってより良い生活を一緒に考えていきます。親身になって患者様と深く関わりを持てる人が言語聴覚士に向いていると思います。
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向いている人
その考えること、学ぶことが好きな人
言語障害や食べることなどの障害のタイプや重症度は人それぞれです。そのためリハビリテーションの方法や用いる教材はその人その人に向けて工夫することが大切です。より多くのリハビリの種類や使い方を知ることが、患者様の回復を促すより良いリハビリをすることに繋がります。回復した時の患者様の笑顔を見たら学ぶことが楽しくなりますよ。
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向いている人
そのコミュニケーションをとることが好きな人
言語聴覚士は話がうまい人が向いているのではありません。人の話を興味を持って聞き続けることが出来る人が、患者様やご家族に寄り添いながら、望む生活を提案出来ると思います。この人を理解するにはどうすればいいのかを考え続けられる人向きの仕事です。
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向いている人
その好奇心のある人
言語聴覚士は障害をお持ちの方の支援を行います。「この方はなぜこのように振舞うのだろう」「どう支援したらコミュニケーションがとりやすくなるのだろう」と考えながら仕事をします。人が好きであること、好奇心を持ち続ける事が大切です。
仕事のやりがい
- 言語聴覚士が果たす役割と重要性
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多くの方の生きがいである「コミュニケーション」「食べる事」に携わり、QOLを高める為のリハビリの提供や提案ができ寄り添える職業だと考えています。また、「その人らしく」過ごせる様、様々な社会参加につないでいく役割だと考えています。
- 言語聴覚士を目指したきっかけ
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元々は保育士を目指し大学で学んでいました。その中で障害児教育の授業を通して自閉症のお子さんと触れ合う機会がありSTの仕事を知りました。そこからコミュニケーションを大切にしている自身の性格にも合っていると思い目指しました。
- 現場で仕事をしていてよかった瞬間
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病気になった後、「初めて声が出せた」「初めて食べることができた」「初めて伝えることができた」など患者様の「初めて」の場面に立ち会えた時にやりがいを感じます。また、退院時の嬉しそうな表情が見れたとき、退院後の近況報告の手紙を頂いたときが良かったと思う瞬間です。
- 言語聴覚士を目指す人へのメッセージ
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環境としては夜勤もなく時間外業務も比較的少ないです。また体力的にも長く続けられる職業です。コミュニケーションや食べる事だけでなく、復学、復職、自動車運転評価にも携われるなど様々な視点から社会復帰のお手伝いが行えます。本当に素敵なお仕事です。
Q&A よくある質問
- Q 文系出身でも勉強についていけますか?
- A 文系出身の学生が多く在籍しています。理系知識が必要な授業もありますが、必要な知識は授業内で説明するので心配ありません。
- Q どんなところで働くの?
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A
総合病院などの大きな病院のリハビリテーション科やリハビリテーションセンターで働くケースが多くあり、その他では特別養護老人ホームなどの福祉教育現場でも働いています。
リハビリテーションに特化した施設だけでなく、歯科医や口腔外科など、口に関連した医療施設で働いている方もいらっしゃいます。 - Q 言語聴覚士の収入は?
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A
月給で25万〜30万円、平均年収で約400万円がおおよその平均金額となります。
職場によっては、経験を積んで管理職になると年収500万円以上も目指せる場合もあります。 - Q 言語聴覚士になるにはどうすればいいの?
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A
言語聴覚士になるには言語聴覚士の国家試験に合格することが必要です。
国家資格の受験資格を得るには、高校卒業後に国から正式に認定を受けた大学か短期大学、もしくは都道府県から認定されている専門学校にて必要な授業を履修することが条件です。
その他には、一般の大学を卒業後に指定の大学や大学院・言語聴覚士の養成校を卒業することで受験資格を得ることができます。 -
高校卒業後に3年制の養成所に
進学する場合-
3月
高校卒業
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4月
養成所入学
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《 3年の修学期間 》
3年の
修学期間国家資格取得
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3月
養成所卒業
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4月
就職
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3月
言語聴覚士、理学療法士、
作業療法士の違い
業務内容について
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言語聴覚士
会話や発声、聴覚、嚥下(食べ物が上手く飲み込めない)障害のある患者様に対して、言語・聴覚・摂食嚥下機能といったコミュニケーション能力に関することや飲み込みに関するリハビリテーションを行い、ご本人や御家族のサポートをします。
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理学療法士
医師の指示のもと患者様の歩行など基本動作の評価を行い、リハビリテーションやサポートを行います。運動療法や物理療法、歩行訓練などを実施します。
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作業療法士
身体的な分野と精神的な分野に分かれています。医師の指示のもと患者様の認知機能や日常生活動作などの評価を行い、リハビリテーションやサポートを行います。
資格の種類
「言語聴覚士」「理学療法士」「作業療法士」3職種ともに国家資格です。
働く場所
3職種の働く場所に大きな違いはみられません。リハビリテーションを行う為、医療や福祉分野の現場で働くことが多いです。
有資格者数(2020年)
職種 |
有資格者数 |
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言語聴覚士 |
約3万4千人 |
理学療法士 |
約18万人 |
作業療法士 |
約9万人 |